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【ヒップホップ備忘録】日本語ラップの歴史〜現代編〜

現代編

(過去の記事も是非ご覧ください。)

手探りの80年代、発展の90年代、拡大〜混沌の00年代を経て、

時はいよいよ10年代、即ち現代へと至ります。

日本語ラップシーンは『さんぴんCAMP』以後、隆盛を極めた後に、00年代半ばよりシーンに新たなムーブメントが発生。

今までにそのファン層と可能性を広げ続けてきました。

最後に、過去と比べ現在の日本語ラップシーンがどのような動きを見せているのか、

前回の記事と同じくその特徴を箇条書きで説明していきたいと思います。

 

インターネット、SNSの普及

現在ではリスナーを含む個人までもが完全にSNSやストリーミングサイトを使いこなせる時代になりました。

そのため、誰でも簡単に世界に向けて自分の音楽を発信出来、またそこで評価を得られればシーンの中枢でも活躍出来る可能性があります。

リリースの形態はCD等のメディアからデータ配信へと姿を変え、楽曲リリースへのハードルも低くなりました。

そのため、アーティストの活動場所は必ずしもクラブ等の現場だけに限られるものでは無くなってきており、リスナーの多くはそのアーティストの人脈や経歴だけでは無くスキルや楽曲のクオリティそのものに注目出来る様になりました。

tofubeatsjapaneserap日本語ラップ

(tofubeats)

※インターネット上での活動が評価されたことからメジャーレーベルと契約。

 

全体的な技術力の向上

向上、というより最早到達点を迎えているといっても過言ではないかもしれません。

現在までに様々なラッパーが新しいスタイルを提案、確立させ時代を刷新し続けてきました。

そのため現代は、新しくラップを始めたアーティストも“自分がどの様なラッパーになりたいか”という課題に出会った時に、あらゆるスタイルの教科書が全て完成した状態で存在している時代であるといえます。

ある意味でラッパーになるための門扉は広く開かれていますが、

その反面、リスナーが重視するアーティストの魅力はかつての様に単に巧みなライミングや特徴的なフローだけでは無くなってきています。

 

個性の時代へ

あらゆるスタイルの完成系が既に確立されてしまっている現代、技術面での差で優劣が生まれにくくなってきた分、リスナーはアーティストに個性を求める様に変化してきています。

アーティスト自身に関することであれば、例えばリリックに反映させられる特異な人生経験、ビジュアルのインパクトやファッションセンス等はかつてよりラッパーにとって武器として機能しやすい時代であると感じられます。

また、楽曲に関することであればよりパーソナルでニッチを狙ったトピックが注目を集めやすい時代であると感じられます。

はっきりとした定義は曖昧ですが、事項で触れるメインストリーム寄りの作風と合わせ、こういった形の新しいセルフボースト(自己賛美)に対し「SWAG」という形容の仕方がされることもある様です。

 

izumimakurajapaneserap日本語ラップ

(泉まくら)

※HIPHOP文化やストリートとは無縁の普通の若い女性の日常を高い音楽性で表現する。

 

young-hustlejapaneserap日本語ラップ

(YOUNG HUSTLE)

※筋トレやVネックTシャツへの拘り等、個性的なトピックの楽曲で有名。

 

『それでも釣りに行く / Y’S feat. RAW-T, 遊戯』

 

 

『Reebok CLASSIC X KANDYTOWN [GET LIGHT]』

 

 

メインストリーム回帰

一時期、アンダーグラウンドシーンが隆盛を極め、著しくガラパゴス化の進んだ日本のHIPHOPシーンですが、

現在ではTWERKやTRAP等といったアメリカのメインストリームシーンでの流行を取り入れたアーティストも次々と人気を得られる様になってきました。

KOHHやANARCHYなど海外からも高い評価を得られるアーティストも出現しています。

 

kohhjapaneserap日本語ラップ

(KOHH)

 

 

anarchyjapaneserap日本語ラップ

(ANARCHY)

 

 

kowichijapaneserap日本語ラップ

(KOWICHI)

※アメリカのラップを直訳したかの様な浮遊感のあるラップが特徴的。

 

 

あらゆる個性、異なるスタイルが共存

先述の通り、これまで以上に個性が重視される現在、様々なアーティストが異なる到達点を求め、リスナーが持つ価値観も多種多様です。

これまで過去の記事でそれぞれの時代で起こったスタイルや価値観ごとの対立関係にも触れてきましたが、

現代は多くのリスナーやアーティストが自分の好きなスタイルや価値観を押し付け合うのでは無く、自分の意志で選択し、追求していける時代であると感じています。

また、ラッパーがTVに出ることや、アイドルやメジャーアーティストと仕事をすることにも、多くのリスナーは肯定的です。

勿論、個人的なBEEF(揉め事)は少なからず存在していますが、

現在は日本のHIPHOP史上、最も多様な価値観に対して寛容な時代であると断言出来るでしょう。

 

dinary-delta-force1日本語ラップ

 

 

 

dinary-delta-force2日本語ラップ

(DINARY DELTA FORCE)

※流行に左右されない90’s HIPHOP直系のサウンドが特徴的。

 

『IWASHITA / あやまんJAPAN feat. 三島』

 

 

フリースタイルラップバトルの大流行

BSスカパー!にて放送中の番組『BAZOOKA!!!』(現在放送休止中)の人気企画『高校生ラップ選手権』やテレビ朝日にて放送中の番組『フリースタイルダンジョン』等、

TV番組の影響を受けて、フリースタイルラップの人気がシーンの枠を超えて拡大、若年化しています。

2000年代半ばより競技性に特化したコンテンツとして成長を続けて来たフリースタイルバトルがメディアを通してHIPHOPリスナー以外の一般人の目にも留まることとなったのです。

またその人気はバトル以外にも及び『コカコーラ』『花王』『TOYOTA』『日清』『KIRIN』『アコム』『文部科学省』等、挙げきれない程に多くの有名企業や団体がCMでラップを使用したり

実際にプロのラッパーを起用しています。

他にも今は毎週の様にHIPHOPアーティストが地上派の有名番組にも出演しています。(2016年10月現在)

HIPHOPが多くのメディアに取り上げられるという現象は2000年代前半を始め、過去にも見られましたが

近年の流行の特徴はアドバイザーや制作者の一員として実際にHIPHOPシーンでも重要なポジションを担っているアーティスト自身が指揮をとっているという点です。

また、そのような過程で若くして人気を得たアーティストが昼間のイベントでライブを行う機会も急増しています。

 

 

代表的な楽曲

『JUNJI TAKADA / KOHH』

『FUCK SWAG / KOHH』

『Shake Dat Ass / ANARCHY feat. AISHA』

『Kids In The Park / RHYMESTER feat. PUNPEE』

『Chain Gang / BAD HOP』

『RGTO / AKLO feat. SALU, 鋼田テフロン & K DUB SHINE』

『一網打尽 (REMIX)/ 韻踏合組合 feat. NORIKIYO, SHINGO☆西成, 漢』

『100 (Remix)/ JAZEE MINOR feat. ISH-ONE, ZORN, MARIA (SIMI LAB) & Staxx T (CREAM)』

『Eyes / SIMON feat. IO, RYKEY』

『水星 / tofubeats feat.オノマトペ大臣』

『揺れる / 田我流』

 

 

代表的なアーティスト

SALU

AKLO

KOHH

ANARCHY

KEN THE 390

SIMI LAB

Fla$hBackS

Creepy Nuts

PUNPEE

BAD HOP

YENTOWN

KANDYTOWN

ISH-ONE

ZORN

 

 

『aaight / DJ SOULJAH feat. KOHH, MARIA(SIMI LAB)』

 

『FUCK SWAG / KOHH』

 

『Shake Dat Ass / ANARCHY feat. AISHA』

 

『RGTO / AKLO feat. SALU, 鋼田テフロン & K DUB SHINE』

 

『Kids In The Park / RHYMESTER feat. PUNPEE』

 

『100 (Remix) / JAZEE MINOR feat. ISH-ONE, ZORN, MARIA (SIMI LAB))& Staxx T (CREAM)』

 

『Bi Bi Bi (Mi Mi Mi 噂のBITCH Version) / SLOTH』

出展Youtube.com

 

 

 

2010年代もいよいよ折り返し地点を過ぎました。

 

そして現在、日本語ラップのリスナーの中で最も頻繁に議論のトピックになりがちな課題としては、

 

・ラップの競技としての側面ばかりがフォーカスされがちである。

(フリースタイルバトル出身のアーティストと作品のレコーディングに重きを置くアーティストとのファン層の乖離)

・若年層のファンにHIPHOPの文化的な面白さを伝えられるツールが少ない。

(過去の名作や歴史の軽視)

 

といったような点が挙げられるかと思います。

 

今後はフリースタイルバトル出身の若いアーティストが、どのような音源を発表していくのかという点にシーン全体の注目度が高まっていくのではないでしょうか。

その中から文化としての“日本語ラップの歴史”の中で、また新たな潮流を生み出す様な名盤が生み出されることをリスナー全員が楽しみにしていることでしょう!

 

 

『一陽来復 / CHICO CARLITO feat. CHOUJI, 唾奇』

 

 

※取り上げさせていただいたアーティストや人物の敬称は統一して省略させていただいております。

また文中での順番も不同、もしくは時系列を基準とさせていただいております。

主観や個人的な嗜好には依らず、飽くまで客観的、中立的な視点から書かせていただけるよう努めました。

 

 

前回の記事も是非ご覧ください。

 

【ヒップホップ備忘録】日本語ラップの歴史〜80年代編〜

【ヒップホップ備忘録】日本語ラップの歴史〜80年代編〜

 

【ヒップホップ備忘録】日本語ラップの歴史〜90年代編〜

【ヒップホップ備忘録】日本語ラップの歴史〜90年代編〜

 

【ヒップホップ備忘録】日本語ラップの歴史〜00年代編 (前半)〜

【ヒップホップ備忘録】日本語ラップの歴史〜00年代編(前半)〜

 

【ヒップホップ備忘録】日本語ラップの歴史〜00年代編 (後半)〜

【ヒップホップ備忘録】日本語ラップの歴史〜00年代編 (後半)〜

 

この記事を書いた人


funkyikeda

DJ FUNKY☆池田

10代の頃よりDJ活動を開始。

これまで関西を中心に大小問わず様々なイベントに出演、または自らそれらを企画。

豊富な知識と独自のキャリアの中で培われた鋭いセンス、楽曲の持つグルーヴ感やルーツの魅力を最大限に引き出す独自のMIXスタイルは多方面からの高い支持を得ており、その個性を武器に様々なフロアを演出し続けるPARTY DJである。

また、持ち前の選曲の幅広さを生かすべく大規模なクラブイベントでのプレイとは別に、一晩を通してラウンジスタイルのロングセットを披露する『FUNKY LOUNGE』を実施。2009年の祇園祭の日に開催されたスペシャル企画では25時間のロングセットを成功させた。

更に、2010年からは同タイトルとなる『FUNKY LOUNGE』シリーズを皮切りに多数のMIX CDを全国に向けてリリース。 (全作品、全国大手レコードショップを中心に発売中)。

関西を代表するsinger『歩』ボーカルユニット『FUNK ON HIP』LIVE DJ。

2014年、『DJ’s SUMMIT MIX CD CONTEST』全国8位入賞。

現在も多数のレギュラーイベントにてPARTYの要となるDJを務める傍ら、他府県でのゲスト出演や、CLUB DJ教室のインストラクター等、その活動は多岐に渡る。

 

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関西のクラブを中心にDJとして活動中。
幅広い知識と経験に裏打ちされたセンス、楽曲の持つグルーヴ感やルーツの魅力を最大限に引き出す独自のプレイスタイルで支持を得る。
大小問わず多数のレギュラーイベントにてPARTYの要となるDJを務める傍ら、MIX CDのリリースやクラブDJのインストラクター、他府県でのゲスト出演等その活動は多岐に渡る。

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